「お前さ、」

 唐突なのは、いつものこと。

 土の中から水の中から、壁を蹴破り敵を蹴散らし、彼はまるでそれが義務であるかのように予想もつかないところから飛び出してくる。意外性こそを身上とする、目立ちたがりの木の葉のルーキー。

 だから、たとえ目と鼻の先に、いきなり何の前触れもなくさかさまになったナルトの顔が現れたとしても、ヒナタは驚かなかった。いや驚いたが。顔が真っ赤になり気が遠くなって目まいがし耳鳴りが鳴ったが、気絶はしなかった。最近は話をする機会も増えたのだ、ちょっとやそっとでは――

 だが。

「オレのこと、好きなの?」

「―――――――――な、」

 ちょっとやそっとではない、登場以上に唐突なその言葉に、なんとか持ち堪えていた精神があっさりノックダウンされる。

「な、な、なななななん、なんで、な、……ぇ? え、え、えええええええええっ!?」

 顔色は赤を通り越して白くなり、青くなり、そして再び真っ赤に染まる。繰り返される言葉は意味を持たず、悲鳴となってのどからこぼれた。あまりのショックの大きさに、今度は気絶すらできない。決定打とはこういうのを言うのだろう。体が対応できないほどの、甚大なダメージ。

 そうだ、意外性は登場の仕方だけではない。どこからともなく現れて、相手が予想もつかない方法で、想像もできない攻撃を仕掛けてくる――

「あ、あ、ぁ……………………う、うわあああああああああああああんっ!!」

 ぐちゃぐちゃになった頭では、繊細な想いをまとめることなどできず。問いの返事も、どころかまともな言葉一つ返せないまま、ヒナタは泣き声を上げてナルトの前から逃げだした。

 

「あ、おい、ヒナタ!?」

 泣きながらあさっての方向に駆けてゆくヒナタを追いかけようとあわて、ぶら下がっていた木の枝から振り落とされる。頭から地面にぶつかって、ナルトはふぎゃ、と尻尾を踏まれた猫みたいな声を出した。

 天地逆転したままの視界には、もはや追いかけて追いつける気にさえなれないほどの猛スピードで駆けてゆくヒナタの後姿が映っている。

 頭で倒立したまま、器用に腕組みして。

「……なんで逃げんだってばよ?」

 心底不思議そうに、ナルトはつぶやいた。

 

 

「こンの……」

 

四月の空は、青く青く

 

「大馬鹿ああああああ――――っ!!!!!」

 

 

 叫びと共に繰り出される必殺の右がナルトをとらえた。尋常ではないその威力に、少年忍者の体が何十メートルかぶっ飛ばされる。

「うぶおおおおおおおぅ!? でっ! だっ!! がっ!!!」

 着地しても勢いは収まらず、ナルトは二、三回地面との出会いと別れを繰り返した。数メートルを転んだ後、煙を上げて動かなくなるナルトをびしいっ! と指さして、サクラは声を張り上げる。

「なにを考えてんのよアンタは、この鈍感! ここまでの大馬鹿野郎だとは思わなかったわ!!」

「う゛う……」

 地面にへばりついてうめき声を上げているナルトにはサクラの話を聞いている余裕はなさそうだったが、サクラは構わず叫び続けた。

「私がなんのためにあの子の気持ちをこっそり教えてあげたと思ってるのよ!! 何をのこのこと確認しに行ってんの!? 何を期待してたのよアンタは! アンタに声をかけるのさえためらってた恥ずかしがり屋が、気付かれてないと思ってた自分の気持ちをいきなり言い当てられて、『ハイそうです付き合いましょう』なんて言えるわけがないでしょうがっ!! ちょっと、聞いてんのナルト!?」

「み、耳がじんじんして聞こえません〜……」

「ア・ン・タ・はあああっ!!」

 減らず口を叩いてくるナルトにずんずんと詰めよって、胸倉をつかみ上げ――

 片腕一本でナルトを吊り上げた体勢のまま、サクラはため息をついた。

「……まあ、仕方ないけどね。馬鹿なのがナルトだし」

「……オレってば本気で殴られた上に、さっきからもの凄え馬鹿呼ばわりされてるんスけど……」

「当然よ。言っとくけど、あんたが馬鹿じゃなかったらあと50発は殴ってるからね」

「こ、怖ええええええ!! オレ、馬鹿じゃなかったら今頃跡形もなくチリになってたってばよ!? ば、馬鹿でよかった――っ!!」

 人生で初めての感謝をしているナルトの顔を覗き込んで、サクラはどすの効いた声音でつぶやく。

「ホ・ン・ト・に・反省してるんでしょうね……?」

「はい。もちろんです」

 ナルトの素直な返事を聞いて、ようやくサクラは彼の体を地面に下ろした。胸倉をつかんでいた手も離し、それでも憮然とした表情は崩さぬままに言ってくる。

「まったく……あれほど女の子の扱いには気をつけなさいって言ったのに。乙女心は繊細なんだから、がさつに触れたら傷ついちゃうのよ?」

「さっきまでその繊細な女の子に片手で吊るされてた身としては、いまいち実感湧かないってばよ」と、言いたいところだがもちろん言わない。脳味噌などが入っているので、頭は割と大事なのである。割られたりしては困る。

「サスケ君も何か言ってやってよ! ひどいよねナルトの奴!」

 話を振られて、今まで二人の騒ぎを少し離れた所から無言で見ていたサスケが、ようやく口を開いた。

「サクラ」

「うん」

「さっきの殴り方、少しガイに似てたな」

「嫌あああああああああああああああああーーーーっ!!!!」

 両手で耳を塞ぎ、しゃがみ込んで絶叫するサクラを無視して、サスケはナルトへと近寄って来る。

「おい、ナルト」

「……なんだってばよ?」

 すぐには答えずに、しばしの間を挟み。

 にやりと勝ち誇ったような笑みを浮かべて、サスケは言った。

「お前……色恋沙汰でもウスラトンカチなんだな」

「ぐぅぅっ………!?」

 一番反論しにくいタイミングでそれを言われ、さしもの減らず口も黙るしかない。さすがに、ナルトも今となってはあれが失敗だったとわかる。

 告白する手間が省けたんだからいいじゃんてばよ、などとも思うが、そういう合理性ではないのだということも、なんとなくは理解している。

 思い出すのは、白い瞳。

 気がつけば、いつも自分を映していたあの瞳。

「……あーくそ、わかったってばよ、行けばいいんだろ、行けば!」

「ナルト!」

 走って行こうとするナルトを呼び止めて、サクラは声をかけた。

 誰のところに、とか、何をしに、とか。そんな野暮なことは口にしない。

「頑張りなさい! 傷つけるようなことするんじゃないわよ!」

「おう! わぁかってるってばよ!」

 激励に背中を押されて、ナルトは風よりも早く駆け出した。

「ホントに大丈夫かしらね〜……」

「さあな。こういうことに関してあのウスラにできることと言ったら正面突破くらいしかないだろう。あとは相手次第だな」

「相手次第、か。……まったく心配ないような、激烈に不安なような……」

「それならあいつにお似合いじゃないか? どっちに転んでも極端な辺りが、特にな。誰かは知らないが」

「……え、ひょっとしてサスケ君、本当に知らない?」

 

 

「か、帰ってない!?」

 日向本家へと出向いたナルトは愕然とした。家の者が言うには、ヒナタは昨日から本家に帰ってないのだという。

 夕べ、走り去ってゆくヒナタを見て、てっきり家へ帰ったのだと思い込んでいたナルトにとって、これは大きな衝撃だった。そこまでショックだったのか……。

「どこ行ったんだよ、ヒナタぁ……」

 一刻も早く見つけた方がいい。衝撃に揺れる頭をなんとか切り替えて、ナルトはヒナタ探しを開始した。

 

「あ、なあテンテン、ヒナタ見なかった?」

「ヒナタ? 見てないわよ?」

「そっか。サンキュ」

 そう言って走り去ろうとしたナルトの耳に、聞かせる気があるのかないのかといった小声で、テンテンがつぶやくのが聞こえた。

「……って、言えばいいのよね、うん。約束通り」

「………約束?」

「ナルトが来たらそう言えって。あ、誰との約束かは言えないよ?」

 戻って来てそう聞くナルトに悪びれもせず答えるあたり、聞かせるつもりはあったらしい。というより、賭けだったのだろう。ナルトが聞き逃していれば、そのまま立ち去っていたに違いない。

「それ、ひょっとしてヒナタか? あいつ、どこに行ったんだってばよ?」

「だから言えないわよそんなの、口止めされてるんだから」

「いや、そこをなんとかさぁ」

「だぁめ。あんたには特に言うなって言われてるし」

「う〜ん……」

 その約束をさせたのがヒナタというのは最早疑いようがなさそうだが、これ以上テンテンから情報を引き出すのは難しそうだ。まあ仲間のくのいちが黙認しているのだから、さほど危険な状態ではないのだろうが……名指しで「教えるな」と指定されるほど避けられているのかと思うと、いろいろ思う所がないでもない。

「……わかったってばよ。じゃあ、この辺をしらみつぶしに探してみっか……」

「探すのはやめないのね?」

「ん? そりゃまあ。……ほっといても問題はないのかもしんねーけど、こう……後味悪いというか。後でじゃなくて、今、謝っときたいんだってばよ」

「……そう。なんていうのか、いいわね。そういうの」

「先輩が場所を教えてくれりゃもっとイイんすけどね。……ダメ?」

「そうね、悪いけど……私も友達との約束は破りたくないもの。ちなみに第五練習場は術を使った練習がよくあるせいで、地面が土遁でボコボコなのよねー。あれだけ穴があったら、人一人くらい楽に隠れられるんじゃない? 独り言だけど」

「…………ありがと」

「約束よりも大事なことってあるものよ。早く見つけてやってね」

 なんだか満足げなテンテンの笑顔に見送られて、ナルトは第五練習場へと急いだ。

 

「見ーつけた! ヒナ……タ…………さん……」

「……ぐすっ……ぅぅぅ………」

 忍術で掘られた穴の奥の暗がりから、予想以上に恨みがましい目で見つめられ、ナルトは思わずたじろいだ。底の広いU字型のトンネルは昼間でもかなり暗く、そこで宙に浮かぶみたいに光る白い双眸は、なかなかの迫力を持っている。

 穴の入口から中を覗き込んだ姿勢のまま、ナルトは動けずにいた。トンネルはかなりの広さがあり、大人四人くらいなら楽に入れそうだったが、果たして中に入っていいものなのかどうか見当がつかない。かなり怒ってるみたいだし、下手に刺激しない方がいいだろう――いや、何を恐がっているのか、サ○ラちゃんじゃあるまいし(プライバシー保護のため一部削除)いきなり襲いかかってくることなんてないんだから――いやいやでも、あーいうタイプは意外に怒らせると恐いって言うからな――そこまで考えて、ナルトはつと気付いた。

(……なんにも知らないんだな、オレ)

 こういう時、ヒナタがどういう行動を取り得るのか。もっと言うならば、そもそもの原因であるあの質問だってそうだ。ヒナタが逃げ出してしまうなんて考えもしなかった。ヒナタの行動をシュミレートするだけの知識が、ナルトにはなかったから。

 日向ヒナタのことを、ナルトは何も知らないのだ。

 別に責められるような筋合いのことではない。好意を抱いているのはヒナタであってナルトではない。同郷の同級生というだけでいちいち個人情報を調べてまわるような(忍としては正しい行為のような気もするが)面倒くさい真似も彼はしない。

 知らなくったって、別に悪くない。

 悪くはない、けど。

 ナルトは結局、無防備にトンネルの中へと入っていった。全身から力を抜いた自然体で、たとえいきなり攻撃されても、反射的な反撃などしてしまわないように注意しながら。

 膝を抱えて、今は顔を伏せているヒナタに近付いていくにつれ、彼女のすすり泣く声が聞こえてきた。ひょっとして昨日からずっと泣いているのだろうか。いや、さすがにそれはないだろういくらなんでも。

 手が触れるくらいにまで近付いて、ナルトはようやく泣き声に混じって聞こえる声に気がついた。しゃがみ込んで耳を近づける。

「…………なんで……………前は、ひっく、…わた…………ても、……かなかった、のに…………なん……ひっく、…いきなり…………って、…………どい……」

「あー。えーと」

 ……ほとんど聞き取れなかったが、非難されているらしいことだけはなんとなく伝わってきたので、とりあえず謝っておく。

「ごめんな、ヒナタ。オレってば、こういうのよくわかんねーんだってばよ。いきなり聞いたりして悪かったなって――」

 と、それを聞いたヒナタが、弾かれたように顔を上げる。

「っ! ち、違うの、ごめんなさい! ……わた、私、本当は、ナルトくんに怒ってるんじゃないの!」

 ところどころでしゃくりあげながらも、必死にそう言ってくる。

「せ、せっかくナルトくんからその、言ってくれたのに……ちゃんと返事できなくて、それが情けなくて、恥ずかしくて……だから、会いたくなかったの! 怒ってたのも、そんな自分がふがいなかったからで……ナルトくんが嫌いになったとか、全然そういうことじゃないのっ!」

「……そっか。……よかった」

 それを聞いて、自分でも不思議なほど安心していることにナルトは気付いた。

「じゃあさ、もいっぺん聞いてもいい? ヒナタってオレのこと――」

 と、言いかけてはたと思い止まる。危うく同じ過ちを繰り返すところだった。危ない危ない、もう少し遠回しな言い方をしなければ。

「オレのこと、あい……いやこれは違うな。なんつーか、オレに対して好意的に、好意をなんとか……えるおーぶいいー……」

「愛してる」

「……………………」

「私はナルトくんのことが大好き。ナルトくんを愛してる。……本当に変だよね、私。これくらいのこと、いくらだって言えるのに。何も恥ずかしくなんてないのに」

 だってそれは本当のことなんだから。

 地球が何百回転したって変わらない、当り前のことなんだから――

 そう言って、ヒナタは涙に濡れた顔で笑って見せた。どこか吹っ切れた、別人のような笑顔に見上げられ、ナルトの心臓がどきりと跳ねる。

「追いかけて来てくれて、ありがとう。……嬉しい」

「べ、ベベべべ別にそんな大したことじゃねってばよ!? おおおオレの方こそ泣かせちまって悪かったっていうか!!」

 力いっぱいうろたえながら、ナルトは尻もちをついて後ずさる。ナルトが後退した分よりも、明らかに長い距離をヒナタは近付いてきた。

「ここで、一晩ずっと考えてたの。こんなに恥ずかしい思いをしても、情けない自分に辛い思いをしても、ナルトくんのことを嫌いにはなれない。ああ、やっぱり私は本当にナルトくんのことが好きなんだなあって。その気持ちが変わらないなら、恥ずかしがったりする必要ないのかもしれないって」

「あ、あうう……」

 間近になったヒナタの顔が、暗闇でも何故かはっきりとわかる。吐息を、鼓動を感じ取れる距離。今まではなんということもなかったその距離が、今はもの凄く近く感じる。紅潮した頬、涙で潤んだ瞳、浮かべる笑みはあくまで優しげで――

 ああもう、今更になっていつものヒナタの気持ちがよくわかる。逃げだしたい。真っ赤になった顔を隠して、今すぐこの場から消え去りたい。

「ナルトくん、私……」

「ス、ストーップ!! ちょっとタンマ!! わ、悪かったってばよーー!!!」

 穴があったら入りたいと、トンネルの底で彼は思った。

 

 ほんの数分離れていただけの地上は、なぜか凄く懐かしかった。新鮮な大気を吸い込みながら、目が痛くなるほど新鮮な青空を見上げる。

「……オレさ、誰かに好きになってもらえたってこと、ないんだ」

 トンネルから這い出るヒナタに手を貸してやりながら、ナルトは話し始めた。

「誰かを好きになることはあったけど。誰も、オレのこと好きになってくれなかった。今はもう、イルカ先生やカカシ先生や、サクラちゃんや……えとまあ一応サスケとか、他にも一杯、家族や仲間はできたけどさ。それだって、最初はよくわからなかった。イルカ先生のことも、初めのうちは信じられなかったしな」

 地上へ降り立ったヒナタは、一日ぶりの空にも大地にも目はくれず、ただ黙ってナルトの顔を見つめていた。

「だから、もしオレを好きになってくれるヤツがいたら、聞いてみたかったんだ。なんでオレのことを好きになったのか。オレのどこが好きになったのか。……それを聞いて、どうしたかったのかはわかんねーけど。多分、安心したかったんだと思う」

「安心?」

「俺にも、誰かに好きになってもらえるような所があったんだなって」

 そう言ってナルトは笑った。それを見た誰しもが、思わず眼を背けたくなるほどに切ないその笑顔を、ヒナタは眼を逸らさず見つめ返す。逃げることなく、正面から受け止める。

「ナルトくんのいいところは、いっぱいあるよ。諦めないところ。失敗を力に変えられるところ。どんなに怖い人でも、どんなに困難なことでも迷わずぶつかっていけるところ。

 でも、もしそれがなくなったとしても。ナルトくんがどんどん変わっていって、今のナルトくんでなくなってしまっても。他の誰にも、ナルトくんだってわからなくなってしまったとしても――私は、ナルトくんが好きだよ。今と変わらずに、ずっと好きでいるよ。どんなにいいところがあったって、それがナルトくんじゃなかったら、私は好きにはならなかったもの」

「………ありがとう、ヒナタ」

 今はまだ、ナルトにはわからない。純粋でまっすぐなヒナタの言葉がこれ以上なく嬉しくて、そしてやはり恥ずかしいけれど、それだけだ。愛の意味なんて彼には、そして恐らく彼女にもわかりはしないだろうから。

 けれど、いつの日か気付くことだろう。彼女の言葉の裏に秘められた壮絶なまでの誓いに。どんな姿になってもあなたを愛し続けるというその意味に。

 どんな姿になっても。どんなに変わってしまっても。

 そう、それが例え、九本の尾を持つ破滅の妖孤の姿をしていても――

 だけど、ともかく今は。

「さっき思ったんだけど。オレさ、ホントのこと言うと、ヒナタのことほとんど知らねえんだ」

 知らないのは悪いことじゃない。けど、自分を好きでいてくれる――愛してくれる人のこともよく知らないなんて、そんなのはやっぱり、寂しい。

「だからさ、これから――これから、色々教えてくれねえかな?」

 他の誰でもなく、日向ヒナタが好きなのだと、胸を張って言えるように。

 まずは、知り合うことから始めよう。

 

 

「あはは、よく見ると髪ぼさぼさだってばよ」

「い、言わないで〜……」

「なあ、せっかくだし今日、どっか遊びに行かねえ? 二人で」

「い、今から!? う、嬉しいけど、その、私お風呂入ってないから……一旦家に帰って、着替えてからでもいい?」

「あ、じゃあオレも一緒に行くってばよ。挨拶しなきゃ」

「!!! ちょ、ちょちょちょちょっと待って!! あいさつって!? そ、それはいくらなんでも早すぎるというかあの」

「なんで?『これから娘さんと付き合わせていただきます』って言うだけだぜ?」

「そ、そっちの方がまずいような気がする!」

「ヒアシのおっさん……いや!『お義父さん』に、きちんと挨拶しなきゃな!!」

「そ、そ、それは絶対ダメ!! その呼び方だけはダメだよ!! 前にヒバナの同級生が冗談でそれを言ったら、お父様本気で――」

 訓練場に一本だけ生える大きな木。その大木のてっぺん、細枝しかないような所にごろりと寝そべって。仕事をサボって木の上で休憩していたその上忍は、木の下から聞こえてくる仲良さげな口論をBGMに、手にした本をぱらりとめくる。

 マスクで顔半分を隠したその上忍は、つと本から視線を外すと、空を見上げただ一言、

「……青いねえ」

 と、つぶやいたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

(あとがき)

キリ番777記念ss。

なにが大変って、サスケのキャラが思った以上に難しくて大変でした。

サクラはたぶんいい相談相手だと思うんだ、ナルトにとってもヒナタにとっても。

最後の方の伏線っぽいのは、本編が「こうなったらいいな」という管理人の願望です。

暴走した主人公を引き戻すのはそりゃあーたヒロインの役目ですよ。サクラにはほら、

サスケがいるし。

 

←バックします